2019年3月7日
治療家トレーナー目線のランニングシューズレポート
NIKE airzoom pegasus 35
heel-toe drop:10mm/heel27mm/toe17mm
weight:about250g/25.5cm(新品時に計測してないので)
ナイキのランニングシューズ史上最も売れているペガサスシリーズ。
その35代目モデル、エアズームペガサス35。
35年前からあるので、ボクも高校生や大学生の頃から何代目かモデルをいくつか履いてきました。
ちなみにこれは初代ペガサス↓(83年製)
ペガサス35、
色んな人がレビューしていますが、どれも概ね高評価されていますね。
ボクも率直な意見を言わせてもらうと、
“初心者からトップランナーまで履ける、万人受けするシューズ”と言った印象です。
まず特筆すべきは、クッション。
これまで2つに分けて使用されていたエアバッグを1つにくっ付けて、更にカーボンファイバープレートをヴェイパーフライを参考にした曲線的なフォルムにして、衝撃吸収だけではなく、屈曲性によって前への推進力へと繋げてくれる工夫がなされているそうです。
オフセット(つま先と踵の高低差)が10mmあると言うのも、前に体重移動しやすい要素になってます。
クッションはあるんだけど、反発もある、
そんなシューズです。
カラーバリエーションも豊富で人気があるのがよく分かります。
レディースモデルは、脚筋力のそんなに強くない女性の為に更にクッションを柔らかめにしているそうですよー。女子に優しー。
最近シューズについて色々調べたり、よく観察していると、へー、へー、の連続で、
開発者のアイディアに感心してしまっています。
例えば、このアッパー。
上がペガサス35、下が前作34です。
あ、ついでにソールも見てみてください。
何か気付きましたか?
このアッパーとソールの特徴が相まってバランスを取っているんだなぁと納得しちゃいました。
35が発売された時に、
なんだか甲の部分がのっぺりしてんなーって思っていたんです。面長に見えるっちゅうか。
分かりました?違いが。
そうなんです。35は紐を通すハトメが1つ少なくなってるんです。
その事によって甲の部分が広くなり、自由度が増して、屈曲しやすくなってるんです。(機能解剖的には逆で、MP関節の“伸展”と言うんですけどね)
で、今度は裏です。
甲の部分で屈曲度を増した分、ソールの前足部の横の切れ込みを無くして、反発度を維持?(増強?)してバランスを取っているんです。
たぶん。
甲も曲がる、ソールも曲がる、だとグニャになっちゃいますからね。
更にこの“甲広”はフィット感を増す要因にもなっています。
ピタッと張り付く履き心地です。
これは完全に足の形の個人差とフィット感の好みで分かれるところです。
甲高の足の人には合わないかもなぁと言った感じです。
履いて走ってみての感想は、
クッションもあるし、反発もあり、体重移動や蹴り出しもスムースに行けるオールラウンダーって感じ。
ただ、
レース用って感じでは無いかなぁ。
ボクのオススメの利用法は、
“しっかり目に走るジョグ用”です。
LSDなどのゆっくりでも、スピードでも無く、
キロ5前後から4分半くらいのある程度ペースを意識したジョグの時に使うと、このシューズの良さがより味わえる気がします。
という事は、サブ4〜5のランナーのレースには行けるかも、と言えなくも無いです。
ヴェイパーやズームフライやペガサスターボを履くまでも無いが、それらの要素を継承したこのシューズだったら、“体重移動で走る”と言うもう一歩先の走りを身に付けるのにもいいかも知れませんよ。
また今日も最後に、
治療家トレーナー目線での、これはいい!ってポイントを記しておきます。
それは何と言っても、この踵の形状です。
踵上部がピョンて後ろに跳ねてる所です。
あのファラー選手のアドバイスを取り入れたらしいのですが、
これが素晴らしい!
アキレス腱に当たらないの!
これ、チョー画期的です。
全てのシューズをこれにしてもらいたいくらい。
アキレス腱炎の人は意外とここに当たって悪化したりするんです。
ちなみに、昨年BS日テレで放送されたサブ4のシーズン1に出演した中村静香さんの最初の故障はアキレス腱炎で、あるシューズの踵がアキレス腱に当たり続けていたのが1つの原因でした。
それをボクが突き止め、シューズを変更した事と治療で治して走れるようになりました。
付け加えておきますが、
骨格は人それぞれ違うので、足とシューズの形とのマッチングが問題になる事もあると言う話で、決してそのシューズが悪いと言う事ではありませんからね。
ペガサス35
1足持ってるといいかもー。