2018年3月13日
治療家である以上、ボクを頼って来てくれる皆さんを自分の手で良くしてあげたいと言う気持ちは当然ある。
しかし、必ずしもそれが患者さんの為になっているとは限らない。
場合によっては、然るべき所に委ねる、引く時は引く、
そんな判断も治療家として大切だ。
今日はそんな話。
先日送られて来た、とあるサッカーをしている高校生のお母さんからのメールです。
まずは読んでみてください。
原 院長
こんにちは。昨年10月頃、診ていただきました◯◯高校のTの母です。
この度は原さんに息子の腰がおかげさまで快方に向かっているご報告をしたくメールさせていただきました。
腰痛の原因が化膿性椎間板炎ということが分かり入院することになったことを以前お電話で申し上げましたが、その後の経過を原さんにお伝えせず月日がこんなに経ってしまいすみません。
あれから3週間、抗生剤の点滴を投与し、その間に細菌を特定する為の検査を行ったのですが、菌は採取されず特定出来ませんでした。ただ、入院当初からの抗生剤が合いかなりの効果があり、日に日に血液検査の結果も良くなるのと同時に腰の痛みみなくなってきました。
3週間後に退院となり、内服の抗生剤を2月上旬まで続け、薬の服用をやめて1ヶ月後の3月8日の血液検査の結果、問題なしでした。
細菌によって骨が破壊され、だいぶくっついてきてるのですが、まだ完全でない為、腰回りの筋肉を使わない、腕を鍛えるとかコルセットしたままの軽めのジョギングはOKになりました。
あの時に原さんにお会いして、適切なご判断を下さったことに、感謝してもしきれない程です。
長々と書いてしまい申し訳ございません。また本来なら直接ご挨拶すべきところをメールで大変失礼致します。
今後、また息子がサッカーを開始出来るようになりましたら、1年間使えなかった筋肉がびっくりしたしたり、不調を感じることがあると思います。その時は原さんのところに行きまた相談させていただけると幸いです。
今後ともどうぞ宜しくお願い致します。
Tの母より
昨年の秋に、半年以上も前から腰痛で悩んでいると言う高校生が来ました。
いつ頃から、何をしていて、どの辺りが、どんな時に、どんな感じで痛むのか、
原因を探るべく探偵のように(本当の探偵は知らないけど)、細かーく根掘り葉掘り聞き、
次いで、立位・横臥位・伏臥位で様々な動作やテストをして的を絞っていきます。
ある一定の動作をした時にとても痛む事を突き止め、経験上、あー、あそこかって感じの見立てて治療を進め、
これはあと2〜3度治療に通ってもらえれば治るだろうと踏んでいました。
(腰痛だったら大概のものはそれくらいでかなり改善が見られるので)
ところが、
2日後に治療に来た時に、入って来た姿勢からして、これは良くなってないなと思いました。
本人に聞いてみても、治療の後は多少楽になったけど、すぐに戻ってしまったとの事。
その日も治療をしてみて、これは何かおかしいと感じました。
お母さんが心配して付き添って来ていたので、
これは普通の腰痛では無さそうです。ボクが治療してこんな反応なのは何かが隠されています。
出来るだけ早く医療機関で再度診てもらってください。
と説明しました。
後日、お母さんから、何かしらの菌が感染して起こる化膿性椎間板炎だったと言う報告を受けました。
そして、半年経って先ほどのメールが届いたと言うわけです。
こう言うケースがあると言う事実と、
治療家は自分で治せない、分からないと判断したら引っ張らずに患者さんにとって最善の策を取るべきと言うボクの信念を皆さんにも伝えたいので、
ブログに書かせてもらってもいいかとお母さんに尋ねたところ、以下のように快く承諾頂いたので紹介させて頂きました。
原さん
勿論大丈夫です!私も今回、息子がこのような病気になり、非常に稀なことも分かりました。
それだけに、春に激痛が走った初期の段階でのMRIや血液検査の結果に出なかったことで、腰痛の原因にたどり着くのに時間がかかってしまいました。
結果論ではもう少し早くに再度整形外科で診てもらっていたらというのはありますが、素人なゆえ、そこの判断ができずにいました。
幸いにも息子は多くの人の身体を診てきた原さんのご経験の中でのこれは何か違うという判断に救われました。
本当にあまりないケースだけに、このようなこともあることを一人でも多く知っていただくことを願っていますので、ぜひブログにてお伝え願います。
宜しくお願いします。
治療家やトレーナーだったら、とくに若い頃は、鼻息荒く“自分が治してみせる!”と言いたいところだろうけど、
一歩引いてみて、冷静に判断する事“も”とても大切なのではないか、
常に患者さん本位でなくてはならない、それこそが真の治療家だ、
なんて、48歳、トレーナー歴30年になろうとしている中堅(もっと上か)治療家の立場として思ったりしたのであります。
必要なのは、
技術と知識と信念と、
そして思いやりだと思う。
全ては選手(患者さん)の為に
これはトレーナーとして駆け出した18歳の頃に先輩から教わった、極々当たり前でシンプルで、ボクの原点の言葉です。